骨と伊勢神宮。仕組みは一緒!

 

 

はじめに

 

カルシウムをたくさんとったとしても、骨は必ずしも丈夫になりません。なぜなら、骨はカルシウムの塊ではないからです。ですが、ほとんどの人は「カルシウムをとれば骨が丈夫になる」と盲信しています。

 

たとえば、昨年の1月、ある女性から母親の骨粗しょう症について次のような相談をいただきました。

 

「ひどい腰の痛みが続いた母ですが、病院で骨粗しょう症と診断されました。骨を丈夫にする薬が処方されて1年になりますが痛みは続き、骨密度も悪いままでほとんど症状は改善していないようです。もともと煮干しは毎日食べていて、骨粗しょう症と診断されてからは牛乳も毎日飲んでいます。これだけではカルシウムが足りないのでしょうか?」

 

そこで、お母さんの食生活などを伺ったのですが、聞いていて私は驚きました。

 

お母さんは一人暮らしで、おかずはほとんどスーパーのお惣菜。しかも、野菜や果物はほとんど食べない。

 

こんな食生活では、私からすれば骨粗しょう症にならないほうが不思議なくらいです。しかも、彼女のお母さんはもともと煮干しを食べていました。お母さんの食生活では、この習慣がさらに症状の悪化を加速していた可能性が高いのです。

 

実は、この相談、本当はお母さんの言動についてのものでした。こんな食生活ですから、私のお客様なら想像がつくと思います。

 

その相談の中でお母さんが骨粗しょう症であることがわかりました。そして、このふたつの問題は、栄養をとるというアプローチで同時に解決していきました。

 

ここからわかることは、骨粗しょう症は〝それだけの問題〟ではないことです。

 

考えてみれば当然で、骨には次のような役割があります。

 

  • 骨格をつくる
  • 運動の支点となる
  • 内臓を保護する
  • カルシウムを貯蔵する
  • 血液をつくる

 

主な役割だけでこれだけあります。しかし、これだけの問題でもありません。たとえば、高齢者の認知機能は寝たきりになると驚くほど悪くなります。

 

私は10年ほど特別養護老人ホームの評議員と施設の薬剤師を兼務していました。入所当時、ふつうに話ができた方が風邪などで1週間ほど寝込んでしまっただけで、

 

「最近、なにか困ったことはありますか?」

 

そんな私からの質問に、

 

「このところご飯を食べさせてもらえない!」

「職員の誰かにお金をとられた!」

 

などなど、わけのわからない返答をいただくことが度々ありました。とくに高齢者は、脳を使わないとここまで短期間に認知機能が悪くなります。

 

もし、これが骨折などで寝たきりが長期にわたれば、それは尚更のこと。それは当然ですが、ご家族にもたいへんな負担となることは明らかです。

 

この小冊子では、骨粗しょう症対策とそれを防ぐ方法を書きました。転ばぬ先の杖として、お役立て頂ければ幸いです。

 

 

第一章

 

骨の構造を知らないから骨が弱くなる。と、言ったら…

 

「本当かよ?」

 

そう思われる方がほとんどだと思いますが、次のようなお話は事実です。

 

「若いころより身長が2センチ以上縮んだ人の約半数に骨折が見つかる。しかも、この骨折に痛みを感じず発見が遅れることも多い。」

 

とくに女性は筋肉量が少ないし閉経によるリスクがありますから、男性よりもはるかに骨の健康に意識しなければなりません。

 

そして、骨が弱くなるリスクとは、体を支える力が弱くなることにとどまりません。そこで、骨を丈夫にするためカルシウムを意識することになるのですが…、残念ながらそれだけでは意味がありません。

 

たとえば、この原稿を書いているときネパールの大地震がありました。エベレストで雪崩がおき、街が崩壊している様子をテレビで見ましたが、この教訓は私たちの骨にも当てはまります。

 

そこで、まずは骨の構造について確認していきましょう。

 

  • ネパール地震からわかること

 

「レンガ捨て場か?」

 

ネパール地震の報道を見たとき、崩れた街並みに驚きました。

 

映された映像では屋根も壁もわかりません。バラバラになり、無造作に捨てられているかのようなレンガの映像。地震報道だと知っていなければ、それが崩壊した家だと私には想像できなかったと思います。

 

このことから、私たちの骨は、単にカルシウムが集まったものではないことがわかります。

 

おおよそ200個。これだけの骨が私たちの体を支えています。

 

これらは体重を支えることはもちろんですが、衝撃にも耐えられるような構造です。私たちにケガはつきもの。打ち身捻挫といいますが、打撲やバランスを崩して関節をひねることもあります。

 

また、ときには飛び降りるような強い衝撃がかかることもあります。骨は、あらゆる角度からの衝撃に耐えられる構造でなければなりません。

 

レンガを積み重ねただけならば、軽い負荷でバラバラに崩れます。

 

同じように、もし骨が単なるカルシウムの集まりならば、歩く・座るといった軽い負荷でもそれが続くことで、骨は原型もわからないほどバラバラに崩れることになる。これは容易に想像できるのではないでしょうか。

 

骨にミネラル(カルシウムなど)がどの程度あるか、単位面積あたりの骨量を示し、骨の強度を表しています。

 

このことから、骨量が多ければカルシウムなどの密度が高く、逆に少なければ密度が低くなり骨が弱いことになります。こんな説明を聞くと骨とは次のようなイメージになるかもしれません。

 

「骨とはコンクリートブロックのようなもの。」

 

あのカチカチのコンクリートブロック。落としたりしても少々のことでは壊れません。ですから、骨もカルシウムが圧縮されているようなイメージになるかもしれません。

 

確かに、コンクリートは押しつぶすような力にはとても強い物体です。が、引っ張ったり、曲げたりするような力には弱いのです。たとえば引っ張るとか曲げるときに壊れる力は、押しつぶして壊れる力の10分の1程度とされています。

 

こういったことから、骨はカルシウムが圧縮されたものでもないと想像できると思います。もしコンクリートのような構造なら、綱引きや腕相撲はもちろん、ほとんどの運動で壊れてしまいますから。

 

  • 骨密度というくらいだから…

 

骨とは、レンガ(カルシウム)を積み重ねただけの構造ではありません。これはお解りいただいたと思いますが、となると次のような疑問が生まれます。

 

骨密度という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは骨量とも呼ばれ、言葉の通り骨の密度を表しています。

 

  • ネパール地震で壊れなかった壁

 

ネパール地震の映像で、一部が破損したものの崩壊を免れた壁が映されていました。なんとなく覚えている方もいらっしゃると思いますが、その壁の壊れた個所には2本の鉄筋が顔を見せていました。そう、これは鉄筋コンクリートです。

 

鉄筋コンクリートが地震に強いことはよく知られていますが、その理由はコンクリートに鉄筋が入ると、コンクリートの弱点を補うことがでるからです。コンクリートの長所である圧縮にも強いという特性はそのままに、曲げる伸ばすなどに弱いという欠点の補強になるわけです。

 

実は、私たちの骨も同じような構造でできています。

カルシウムというコンクリートを、コラーゲンという鉄筋で支えている。

カンタンに言うと、これが骨の構造です。

 

  • 骨密度は高いのに骨折しやすいのは?

 

「骨の約66%を占める成分は?」

 

そう聞かれたら、ほとんどの人はカルシウム(本当はハイドロキシアパタイトというリンとカルシウムがくっついた成分)と答えるのではないでしょうか。

 

それは正しいのですが、では、残りの約34%が何かというと、それはタンパク質です。そして、そのタンパク質の9割がコラーゲンとして骨を支えています。

 

タンパク質の線維(コラーゲン)で形が作られ、そこにリン酸カルシウムが沈着する。こうして骨が形作られています。何年か前まで、骨の強さを「骨密度」で判断されていました。

 

しかし…、骨密度が低くないのに骨折しやすい。こんなケースがあることが知られるようになりました。その理由もすでにお解りいただけたと思います。

 

骨密度が高くても、それを支えるコラーゲンが弱ければ意味がありません。

 

コラーゲンとは、青竹のように丈夫でありながらしなやかさをもっています。同じように、「カルシウム」を「コラーゲン」で囲うことで丈夫でしなやかな骨がつくられるのです。

 

 

第二章 骨の雑学

 

体は、びっしりと細胞が並んでいる。そう思っている人がほとんどだと思いますが、実はそのような部分は意外に少ないものです。

 

細胞がびっしり並んでいるところは、たとえば皮膚の表面、つまり表皮です。また食べ物の通り道、胃や腸の内面も消化吸収のためでしょう、細胞がビッシリ並んだところです。

 

しかし、それ以外では細胞と細胞が離れていて、細胞と細胞の間はタンパク質の線維その他が埋めています。骨もそれは同じで、細胞と細胞がかなりの距離をとっています。

 

「えっ、骨に細胞?」

 

そう、意外に思われた方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、あまり知られていない骨のお話をしてみたいと思います。

 

◆ 骨の働き

 

クラゲのようにクニャクニャ。

 

もし、骨が体を支えていなかったなら、クラゲのようになってしまい、俊敏な動きもできません。しかし、骨には他にふたつの重要な働きもあります。

 

そのひとつが造血です。これは文字通り、血を造ることで、骨の中心部にある軟らかい組織「骨髄(造血器官)」が赤血球や白血球をつくっています。私が言うまでもなく、血液は必要不可欠なもの。その重要なものを作る場所は、硬くしなやかな骨の中に格納されています。

 

もうひとつの重要な働きはカルシウムのストックです。

 

体におけるカルシウムはその99%が骨に蓄えられていて、残りの1%が組織や血液に存在しています。その1%が筋収縮、神経興奮の伝達、血液凝固などに関わっています。

 

たとえば、心臓の筋肉を動かしているのはカルシウムイオンの働きです。また、さまざまなホルモンの分泌などにもカルシウムは不可欠です。

 

そのため、血液中のカルシウムが不足すると、副甲状腺ホルモンなどの作用により、骨に蓄えられているカルシウムが血液中に放出される仕組みになっています。

 

このことから、骨の健康が全身の健康につながることがお解りいただけるでしょう。丈夫な血ができなければ病気になるのは当然ですから。

 

  • 骨は生まれ変わっている!

 

大人になると骨の大きさはほとんど変わりませんが、それでも新しい材料と古い材料を入れ替えて、常に骨は代謝を続けています。

 

骨芽細胞による骨新生(骨形成)と、破骨細胞による骨破壊、骨吸収が繰り返されることにより、活発に新陳代謝が行われていて、1日に全身の骨の3〜5%が作り替えられているとされています。

 

だからこそ、骨折しても骨がくっつくこと(再生)ができるわけです。この新陳代謝の過程で重要なポイントは、破骨細胞は常に存在しているわけではないことです。必要に応じ、血液幹細胞が破骨細胞に変わることで、骨破壊が行われています。

 

このとき、血液幹細胞が破骨細胞に変わるときに必要な栄養素がビタミンA。この栄養素は、正常な細胞分化に必要不可欠な栄養素ですが、骨の新陳代謝にもビタミンAは必須なのです。

 

つまり、ビタミンAが不足すると、幹細胞が破骨細胞に変わることができません。そのため、骨の作り替えがうまく行われなくなり、骨密度がどんどん低下することになります。

 

高齢になると破骨細胞と骨芽細胞のバランスが崩れるため、骨の骨塩量(カルシウムとリン)が減少していき、骨粗鬆症の原因になります。

 

  • 骨を壊す細胞ができないのに、なぜ、骨密度が減ってしまうのか?

 

「清水の舞台から飛び降りる」という諺がありますが、私はテレビであの清水寺の骨組み(柱)をみるたび、「よく壊れないな~」と思っていました。が、先日、テレビ番組で「記録に残るだけで十数回も消失または倒壊し、再建されてきた」と報道されて納得しました。

 

一方で伊勢神宮ですが、ここは建築物が壊れることを前提とし、20年毎に作り替えられてきました。

 

実は、骨も同じです。

 

先ほど、「破骨細胞(骨を壊す)が足りないと骨密度が低下する」と説明しましたが、それは清水寺と同じです。柱が風雨により痛み崩壊するように、骨も体内で発生する活性酸素などにより日々、痛め傷つけられています。そしてそれが続けば、骨質が悪くなるのも自然なこと。

 

そういったことへの対処として、伊勢神宮のように骨は少しずつ作り替えら続けています。もしビタミンAが不足したなら、骨を壊す作業ができくなる。壊れずに古くなった骨は傷んでしまう。

 

だからこそ崩壊してしまう。骨粗しょう症になるのも自然なことでしょう。

 

 

第三章 骨量と骨質

 

骨は、生まれてからずっと、生涯を通じて新陳代謝(生まれ変わって)を繰り返しています。破骨細胞が古い骨を壊し(骨吸収)、骨芽細胞が新しく作る(骨形成)わけですから、骨吸収が骨形成を上回れば骨がスカスカになります。

 

そんな骨の強さを決める要素に骨量骨質があります。

 

すでにご紹介したように、骨は鉄筋コンクリートに例えられます。このとき、骨量がコンクリートで骨質が鉄筋です。そして骨量は主にカルシウムで骨質とはコラーゲンです。このことから次のことがわかります。

 

「強い骨にするには、骨量を増やした上で、質を良くする。硬さとしなやかさを併せ持った骨にする必要がある。」

 

第三章ではそういったこと、骨粗しょう症の防止と対策についてご紹介していきます。

 

骨の強度 = 骨量(骨密度) + 骨質

 

骨量(骨密度)コンクリート部分(カルシウムなど)

骨質鉄筋部分(コラーゲン)

 

コンクリートは押しつぶされる力には強い。そこに鉄筋が入ることで、曲げたり伸ばしたりする力にも強くなる。つまり、硬さとしなやかさを併せ持つことができます。

 

  • カルシウムの必要量と吸収

 

日本人の1日あたりのカルシウム摂取量は500㎎程度ですが、必要量は大人で800~1000㎎とされています。まずは、必要量が満たされないことにははじまりませから、海藻類や牛乳、乳製品など幅広くとるようにしましょう。

 

しかし、カルシウムを含む食品をたくさんとったとしても、残念ながらすべてが体内に吸収されるわけではありません。なぜなら、カルシウムは他の栄養素に比べ吸収されにくい栄養素だからです。

 

そのため、吸収率を高めるためには他の栄養素も一緒にとることが必要です。その際、とくに重要な役割を果たすのがビタミンDです。

 

食事で摂ったカルシウムは、胃で消化されて腸管から吸収され利用されます。このときにビタミンDはカルシウムの運び屋の役目をしてくれます。つまり、腸管から血液中への吸収が高まります。

 

牛乳やヨーグルトなど、乳製品がカルシウム吸収率に優れていることはよく知られていますが、その理由として、カルシウムに加えてビタミンDやタンパク質も含まれているからだと考えられます。

 

また、ビタミンDは骨の代謝を整える働きもします。骨を壊す破骨細胞の働きを抑え、かつ、骨をつくる骨芽細胞の働きを促進する。この働きにより骨の作り替えが整えられています。

 

このように、ビタミンDは直接骨の材料にはなりませんが、骨の強度を高めるために欠かせません。

 

なお、これもよく知られていることですが、紫外線(太陽の光)を浴びると体内でビタミンDがつくられます。これは皮膚組織にあるコレステロールが、紫外線によってビタミンDに変換されるからです。

 

このことから、日焼けを避けるためUVカットやUVブロックなどの化粧品を愛用している人は注意が必要です。

 

体内で十分なビタミンDを作ることができなければ、食品からの摂取量を増やさなければいけないことは私が指摘するまでもありません。ビタミンDはサケや青魚などに多く含まれます。

 

※日光によるビタミンD生成は、手のひら程度の面積を1日15分くらいでも期待できるそうです。

 

  • カルシウムだけ。では困ります!

 

体は化学工場のように、さまざまな栄養素が関わることで維持されています。骨の生成もそれは同じで、カルシウムが骨にたまることを促すためにはビタミンKも欠かせません。ビタミンKは納豆や海藻に多く含まれています。

 

また、カルシウムに関わるミネラルとしてリンやマグネシウムの存在も忘れてはなりません。リンはカルシウムとともに骨や歯の土台となります。骨や歯がかたいのは、リンがカルシウムと結びつきハイドロキシアパタイトという結晶成分となっているからです。

 

そのため、リンが不足すると骨や歯が弱くなります。しかし、このリンは加工食品などに多く含まれるため、一般的な食生活で不足することはほとんどありません。むしろ、ほとんどの人が過剰にとっているミネラルで、このリンが多すぎると、骨が折れやすくなったり変形したりと骨の成長に悪影響がでます。

 

マグネシウムは、カルシウムが体内でしっかり働くようにサポートするミネラル。カルシウムが骨から溶け出すのを防ぐように働くのがマグネシウムです。

 

その意味で、カルシウムをしっかり摂っていても、マグネシウムが不足すれば不足しているのと同じです。マグネシウムが足りなければ骨からカルシウムが溶け出してしまいますから。

 

リンも含め、ミネラルの摂取はバランスが重要です。一般的には、カルシウムとマグネシウムは2:1の割合で摂ると良いとされています。

 

  • 鉄筋をつくるには?

 

一本の矢は容易に折れるが、三本まとめてでは折れにくいことから、一族の結束を説いたとされるのが「三矢の教え」。これは戦国武将の毛利元就が、子の隆元・元春・隆景に授けたという教えと本で読んだのですが、残念ながら逸話だそうです。

 

しかし、一本より三本まとまったほうが折れにくいのは事実。

そして、コラーゲンもそれは同じです

 

すでに説明しましたが、骨の鉄筋部はコラーゲンでできています。そしてこのコラーゲンの構造をカンタンに説明すると次のようになります。

 

実は、このコラーゲンはタンパク質の一種ですが、3本のペプチド鎖からできています。1本より3本が丈夫ということなのでしょうね。そして、ペプチド鎖とはアミノ酸がつながったヒモのようなもの。つまり、コラーゲンの原料はアミノ酸だとわかります。

 

アミノ酸がペプチド鎖をつくり、それが3本集まってコラーゲンになる。だからこそ丈夫なのだと言いたいところですが、残念ながらこれだけではダメなのです。

 

  • 三本のヒモの強度を上げるには?

 

カジキを釣るとき、そのライン(糸)は三つ編みにするそうです。三つ編みにすることによる摩擦力により、単に3本の糸を並べるよりも強度を上げることができます。

 

実は、コラーゲンも三つ編みを編んでいます。ただし、必ずしもコラーゲンは三つ編み状態ではありません。ペプチド鎖が三つ編みを編むには、必ずビタミンCがいなければいけません。

 

つまり、ビタミンCが足りなければ三つ編みを編むことができませんから、コラーゲンは弱くなります。

 

キレイ(整列した)なコラーゲンは三つ編みで丈夫。一方で、ビタミンCが足りなければキレイなコラーゲンはできません。そして、これはとても重要なポイントになります。

 

なぜなら、骨の場合、コラーゲンがキレイ(三つ編み状態)でなければ、そこにハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)は吸着できません。

 

ビタミンCは骨の原料ではありません。が、ビタミンCが不足すれば、骨は必ず弱くなるのです。

 

  • 骨量を増やし、骨質を良くする!

 

家や飛行機、電車、車など、さまざまな構造物がありますが、どれも骨格で原型を保っています。そこからわかるのは、骨量より骨質が重要だという事実です。

 

これは水を含んだスポンジをイメージすればよくわかります。スポンジは水を含むことができますが、スポンジなしで水は存在できませんから。

 

骨組みがあるからこそ、そこに水が存在できる。骨も同じで、鉄筋(コラーゲン)があるからこそハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)がそこに吸着できます。

 

このことから、骨を丈夫にするため意識すべき条件は次のようになります。

 

  • コラーゲンの原料であるアミノ酸とビタミンCを十分にとる
  • カルシウムとマグネシウムを2:1の割合でとる
  • 日光にあたる(ビタミンDをとる)
  • ビタミンAをとる

 

これは私なりの優先順位ですが、もちろんこれが必要最低限のこと。なお、ビタミンAは、カボチャやニンジン、ほうれん草、春菊、レバーなどに多く含まれます。

 

第四章 環境の整備が必要

 

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。」

 

この平家物語の冒頭部にある「諸行無常」とは、万物はいつも流転(るてん)し、変化・消滅がたえないこと。それを逆手にとっているのが、前述した伊勢神宮の戦略です。

 

壊れるからこそ、作り替えてしまう。

 

体も骨も、この戦略をDNAにプログラミングして利用してきました。そして、その戦略も、栄養素の存在があってはじめて実行できます。

 

十分な栄養素があれば、骨形成が骨の破壊を上回りこのDNAの基本戦略は着実に実行されることになる。のですが、この基本戦略が実行されるにあたり、どんどん環境が悪くなっていると私は感じています。

 

どういうことなのか?というと、たとえば20年毎に作り替えられている伊勢神宮ですが、もし、その間に大きな台風で壊れてしまったら…、ということです。

  • はじめの一歩!

 

老化とは、突き詰めれば体が錆びること。これは骨も例外ではありません。そして錆びの原因とは活性酸素。活性酸素が多ければ多いほど、骨の老化も進むことになります。

 

なぜならば、活性酸素が増えれば増えるほど、抗酸化物質やビタミン、とくにビタミンCが消費されてしまうからです。そしてビタミンCが不足すれば、コラーゲン中のペプチド鎖は三つ編みを編めなくなります。

 

つまり、鉄筋が弱くなりますし、ときにはコンクリートが吸着できなくなります。また、すでに利用されているコラーゲンも活性酸素によって壊れますから、その部分も弱くなります。

 

このことから、次のことがわかります。

 

実は、丈夫でしなやかな骨を維持するためのはじめの一歩は活性酸素対策である。

 

はじめの一歩といいましたが、それにはふたつあります。

ひとつは、活性酸素が出やすい生活環境を改善すること。

もうひとつは、徹底した抗酸化物質(錆を中和する)を大量にとることです。

 

  • 錆びる生活習慣を改善する

 

次のような生活をしている人はいませんか?

 

・外食やコンビニ弁当が多い

・野菜や果物をあまり食べない

・早食い(あまり噛まない)

・スナック菓子をよく食べる

・たばこを吸う

・お酒をたくさん飲む

・ストレスが多い

・よく睡眠不足になる

・クヨクヨ、イライラしやすい

・日焼け対策をしていない

 

該当するものが多ければ多いほど、あなたが自覚するかどうかは別にして、あなたの体や骨は錆びています。こういった生活は活性酸素をより増やすことにつながります。それが骨質(鉄筋)を壊し、骨量の減少につながることに私は疑いをもちません。

 

食生活や嗜好品のとり方は、自分でコントロールできるものです。逆に、次にご紹介するような、自分でコントロールできない活性酸素の発生源があります。

 

  • 生活習慣で防げない錆び

 

実は、私たちは呼吸をするだけで錆びています。活性酸素という名から想像できると思いますが、これは呼吸をして生きる限り必ず体内で発生します。

 

問題なのは空気の汚染度。

 

排気ガスなどで空気が汚れれば汚れるほど、体内で発生する活性酸素の量は増えます。ですから、交通量が多いところに住んでいる人は、田舎で空気がキレイなところに比べ圧倒的い体が錆びることになります。

 

排気ガスで活性酸素の発生量が増えるわけですから、テレビや新聞などで報道されるPM2.5の影響も受けます。また、自分はタバコを吸わなくとも、ご家族の誰かが家庭でタバコを吸うのなら、吸わないご家族もそれは同じです。

 

さらに、水道の水には塩素が含まれます。これも活性酸素の発生源となります。

 

そして、残念ながら、年齢を重ねれば重ねるほど、自然に活性酸素の発生量は増えてしまいます。これらは避けようのないものですから、自分でコントロールできる対処を心がけるのは当然のことでしょう。

 

  • 食品添加物の問題

 

「防腐剤や保存料、着色料をとってはいけない!」

 

よく、そう声高に叫んでいる人がいます。まあ、それはそうなのですが、現実問題としてムリです。

 

たとえば有機野菜ですが、本当の有機栽培は至難の業です。空からは酸性雨が降ってきます。家畜のエサには抗生物質が使われていますから、その糞を肥料には使えません。

 

たったこれだけのことでも、現実的に化学物質を避けることなどできません。そして、もし本当の有機栽培ができたのなら、そんな食材を買い続けることができるのはホンノ一部のお金持ちだけです。

 

たとえば、ニワトリをしっかりした環境で育てたならば、その卵は1個1000円以上でなければ採算がとれないそうです。12個200~300円くらいでしょうから50倍以上の値段。とても買えません。

 

つまり、それでも食べれるだけマシなんです。実際、そういった問題がありながら日本人の平均寿命はのびていますから。

 

では、食品添加物などはどうすればいいのか?それは、この後のお話でご理解いただけます。

 

  • なんと、病院の薬も…

 

実は、病院で処方される薬も活性酸素の発生源になります。

 

「どの薬?」

 

そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。が、ほぼすべてというのが正解です。一部のビタミン剤などは別ですが、体にとって異物(本来使われないもの)はすべて活性酸素の発生源になります。

 

つまり、病院で薬をもらっているのなら、その数が多ければ多いほど活性酸素対策が必要となります。

 

念のために付け加えますが、体にとって異物であるもの。排気ガスやタバコの煙、薬、防腐剤や保存料、着色料などが体で代謝されるとき、そこには必ず活性酸素が発生します。

 

そう、活性酸素が発生する仕組みはみな同じ。これは放射能も同じで、違うのは、放射能があたったときに発生する活性酸素の量がとてつもなく桁違いだということです。

 

この理屈がわかっていれば、添加物などに過剰反応することなどありません。なぜなら、それは化学的な対処ができるからです。

 

  • 活性酸素対策は栄養素しかありません!

 

酸素と水素が結びつき水になる。これは化学反応です。

 

意識するかどうかは別にして、私たちの体では絶え間ない化学反応が続いています。骨の老化も同じで、今、ここで代謝が行われています。

 

活性酸素も同じで、常に体内で発生し、食品中の添加物や空気中の汚れに出会うとさらに大量発生しています。その活性酸素も化学反応により弱毒化、無毒化できます。

 

それが抗酸化物質で、これにはふたつあります。

ひとつは体内でつくられるもの。

もうひとつが、体外からとりいれることができるものです。

 

ところで、酵素というと「とても小さなもの」とか「特別なもの」というイメージがあります。が、これらはすべてアミノ酸を主原料としてつくられていて、とても大きな分子の物質。

 

よく、「酵素をのんでいます」という人がいらっしゃいますが、それは悪くはないのですが、酵素はアミノ酸に分解されなければ吸収されることはありません。

 

逆に、アミノ酸からつくられるわけですから、コスト面から考えてもアミノ酸をとったほうがずいぶん効率的です。また、アミノ酸はそのまま吸収されますが、酵素が消化されるときには栄養素が使われることになりますから、栄養の消費という意味からも、やはりアミノ酸が効率的です。

 

さらに、そんな酵素というスカベンジャーを体内で作る能力は20代をピークに加齢とともに低下しますが、アミノ酸をとることでそれなりに維持できるようです。

 

一方で、体外から取り入れる抗酸化物質はいくつもありまます。

 

ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、ビタミンB群など。このほか赤ワインやココア、お茶、ハーブ、野菜、果物などからも活性酸素による酸化を抑える物質をとることができます。

 

サプリメントとしてもっとも理にかなった組み合わせは、ビタミンCとEを同時にとることです。

 

ビタミンEが活性酸素を処理すると無力化してしまいますが、そこにビタミンCが出会うと復活します。ビタミン剤で「EとC」が一緒に製品化されたものがありますが、それはこういったことから。

 

ただし、そういった製品に含まれるビタミンEは効果の弱いものであることを理解して利用しましょう。

 

  • 骨を丈夫にするためには?

 

骨をつくる細胞は90~120日周期で生まれ変わっています。この細胞の主な原料とは、もちろんアミノ酸です。また、すでにお話をしたように、骨はコラーゲンにより弾力性を維持します。

 

さらに、適度な負荷、運動などをすることで骨はさらに丈夫でしなやかに再生される。また、骨を壊す元凶である活性酸素を処理する主役が酵素や抗酸化物質である。

 

このことから、骨の再生、その主役はアミノ酸とビタミンCだとお解りいただけたと思います。

 

しかし、主役だけでは骨の再生物語は完結できません。そこには、カルシウムやマグネシウム、リン、ビタミンA、D、B群、Kなどなど、多くの脇役が必要です。そして、これらの栄養素は別の物語の俳優でもあります。脳の働き、心臓の働き、血液の流れなどなど、栄養素たちは別の物語にも欠かすことのできない俳優やスタッフたち。

 

このことからも、栄養は万遍なくとる必要があるとわかります。そんな中でも、映画やテレビドラマの主役級を演ずる俳優がごく一部の有名人であるのと同じように、体で展開される物語もその主役はアミノ酸とビタミンCである。

 

これが私の結論です。これを中心に幅広く、十分に栄養をとってみてください。

 

  • 最期に、栄養バランスについて

 

「私は栄養バランスを考えて食事をつくっているから…」

 

なかには、そんなふうに思われている方もいらっしゃるかもしれません。それはそれで悪くはありませんが、正しくもありません。

 

人が必要とする栄養素の量は人それぞれ違っています。たとえば、同じサッカー部の小学生で考えてみましょう。

A B C
睡眠時間 8時間 9h 10h
好き嫌い あり なし あり
炭酸ジュース 1ℓ なし たまに
アイス なし 1個 たまに
スナック菓子 1袋 半分 たまに
胃腸 弱い 強い ふつう
食事量 ふつう 多い 多い

 

小学生でサッカーをしているのにA君は8時間睡眠、しかもジュースとスナック菓子を食べているのに胃腸は弱い。

 

その一方で、C君は10時間睡眠でお菓子やジュースはほとんどとりません。B君もふくめ、「バランスの良い食事」は、こういった違いを考慮してつくっているでしょうか?

 

これだけのことを考えても、バランスは大事だが、バランスがとれないことを前提に、そこでバランスをとらなければいけないことがわかります。

 

つまり、バランスの良い食事など幻想です。そもそも「健康」とか「病気」、「栄養バランス」を記号で考えることがナンセンス。

 

健康にもレベルがありますし、病気にもレベルがあります。そして、健康から病気はつながっていて、それは健康レベルの差でしかありません。健康で問題がない。という人でも栄養や睡眠時間、嗜好品のとり方などを注意することで、その健康レベルは上がります。

 

逆に、たとえ健康でも、毎日のようにコンビニ食で缶コーヒーを何本も飲み、寝不足といった生活ならレベルは下がります。病気にもなるでしょう。もちろん、はじめから体調に問題があるのなら、そのレベルはさらに落ちることになります。

 

そして、もっとも私が訴えたいことは、健康レベルが下がっているとき、そのときには必ず脳の性能もレベルが下がっている。また、その逆も真なり。健康レベルが上がれば脳の性能も上がるという事実です。

 

いつもいっていますが、栄養をとることにメリットこそあってもデメリットはありません。そして、脳の性能を高める対処とは、さまざまな健康問題への対処でもあります。十分すぎるほど栄養をとりましょう。

 

 

きっと、うまくいきます。

 

そして、

きっと、元気になります。